仁義なき極道ラブコメ!
『来世は他人がいい』漫画家・小西明日翔先生インタビュー
「月刊アフタヌーン」にて連載中の漫画『来世は他人がいい』とのコラボを記念して、
漫画家の小西先生にインタビューを実施。キャラクターにまつわる裏話から
影響を受けた“座右の書”まで、たっぷりお話いただきました。
コラボレーションを記念した、SuperGroupies限定描き下ろしイラストの全貌もお披露目!
最後のひとスクロールまでお見逃しなく。
小西明日翔先生プロフィール
2015年に『二人は底辺』でデビュー。その後、『春の呪い』で「このマンガがすごい!2017」オンナ編2位を受賞し大きな反響を呼ぶ。現在は『来世は他人がいい』を月刊アフタヌーンで連載中。
小西明日翔先生インタビュー
ストーリー展開を中心にしたキャラクター作り、極道の世界にのめりこんでいくきっかけとなった一冊など、『来世は他人がいい』の裏側がわかる!?
── 作中には個性的なキャラクターが多く登場しますが、キャラクター作りで大切にされていることは何でしょうか?
4巻ぐらいからアザミっていうキャラが出てくるんですけど、アザミはすごい悩みました。
最初は普通の銀髪の男にしようと思っていたんですけど、編集さんからイケメンにして欲しい!とリクエストされて、[アイドル 男]とかでめちゃくちゃ画像検索して資料を集めて自分の引き出しにないイケメンを作りあげていった記憶があります。
刺青のデザインとかも時間がかかりました……何回も何回も描き直して何度も何度もボツになって……最初はトライバル(※1)にしようとしていたんですけど、実際に漫画で描いてみるとトライバルって服の模様みたいに見えちゃって、中学生が着る洋服みたいな感じになってしまったのでトライバルをやめました。刺青だけで5回は描き直しましたし、そのぐらい迷ったのはアザミが初めてだったのですごい覚えていますね。
それに比べて霧島は学生時代の友人をモデルにしていて、割と似せて描いていたのでそんなに迷ったりはしなかったです。
(※1)トライバル…世界各地の部族や種族ごとに独特なデザインを持つ民族的文様の総称。サモア諸島などで伝わる直線や三角形などの図形を繰り返し配置した幾何学的な図案などがある。tribalは種族の、部族のという意味の英単語。
── キャラクターに関する裏話があればお聞きかせ頂きたいです。
基本的に主役3人は最初に作ったストーリーに沿ってキャラクターを動かしているので、多少脱線することがあってもそういったところから外れたりはしないんですけど、
アザミの横にいる、赤い髪の毛の天パ男はそんなに使うつもりはなかったんです……でもなんか描いてて割と楽しくなってきて……登場させる回数が増えました。(笑)
── 特に愛着や思い入れのあるキャラクターはありますか?
愛着……うわぁどうだろうな……基本的にキャラクターを愛でるタイプの作家じゃないので、どちらかと言うとストーリーを作ってそのストーリーに沿うように必要な人物を揃えていくっていう感じなので……。
ただ『来世は他人がいい』に関しては、もともと趣味で描いていたというのもあって、既に自分の中で出来上がっているキャラクターを動かすという作り方を初めてしたんですね。でもこんなにキャラ人気が出るなんて正直思ってなくって……前作は『春の呪い』という漫画を描いていたんですけど、それに関しても本当にただのストーリー漫画でした。自分の作品がこういうふうにグッズ展開されるなんて全く考えてなかったので、『来世は他人がいい』に関してもキャラクターに愛着があるのかって言うと、ないかもしれないですね(苦笑)。
── 吉乃をはじめ、植物が名前の由来の登場人物が多いと思うのですが、なにか意図があるのでしょうか?
今になってどうかと思うんですけど……現実で絶対ありえない名前にした方がいいんじゃないかと思ってつけました。ソメイヨシノもミヤマキリシマもトリアシショウマも名前だけで言うとまるまる植物と一緒の名前の人って多分いないと思うので。
ヤクザが主題なのでフルネームが全く同じ人が出てきたらちょっと困るなっていうのがあって、それで植物の名前にしたっていうのが大いにありますね。
── ……花言葉とキャラクター性をリンクさせていたわけではないんですね?
確かに実際調べてみるとあながち間違ってもないかなと……偶然の一致なんですけどね!棚ぼたなんです。
── 衣装やヘアスタイルなど、キャラクターを特徴づける外見上のトレードマークについて、何か意識されているところはありますか?
3巻くらいからこだわり始めましたね。ちょうど椿が出てくる辺りくらいからこだわり始めました。と言うのも、読者の方からいただく感想で、服装をすごい楽しみにしています!っていうコメントが結構増えてきて、そういうところも見られているんだなと思ってちゃんと描くようになりました。
実はこういうのを描くのがあまり得意ではなかったのですが……キャラクターをかっこよく描くように意識したり、服のレパートリーを増やしたりして努力しました。
── 人生に最も影響を受けた“座右の書”は何でしょうか?
『来世は他人がいい』を描くにあたって最初に読んだ本はライターの鈴木智彦さんの著書、『潜入ルポ ヤクザの修羅場』でした。これは鈴木さんがヤクザの事務所にずっと通って書いてらっしゃった本なんですけど、それを初めて読んだ時に面白いなと思って……こんなに年寄りしかいないんだって。そこからヤクザのノンフィクションノベルにはまりこんでしまいました。
『実話時代』とかも毎月買ってましたね!バックナンバーも取り寄せてヤクザ関連の書籍だけで10万円くらいつかっていました。
それがまだ漫画家になる前だったんで、本当に趣味でハマってしまって……。
映画とかの視覚に入ってくる暴力描写は得意ではないので見ないようにしてたんですけど、書籍であれば何でも好きですね!『殺し屋1』とかすごい好きです。
あとは『ドラえもん』と『AKIRA』はずっと手元に持っています。漫画を書く時にコマ割りをどういう風にすればいいかわからなかったので、『ドラえもん』と『AKIRA』のコマ割りを描き出して、どういう風に視線誘導しているのか参考にしました。
そうしたら『ドラえもん』も『AKIRA』も内枠で収まっていて、断ち切りまで描かれていなかったんですよ!それに則って漫画を描いたので、全部内枠に収まっているんですよね。でも、『AKIRA』は大判だからそれができたんだなって途中で気づいて、『春の呪い』で断ち切りまで描くということを覚えたっていうのがすごい記憶に残っています。
『来世は他人がいい』の題材であるヤクザや極道のお話を特に熱く語ってくださった小西先生。
お忙しい中、インタビューにお答えいただきありがとうございました!
小西明日翔先生描き下ろしイラスト
コラボレーションを記念した、SuperGroupies限定描き下ろしイラストの全貌をお披露目。
Twitterでも話題になった、2人のオールバックのスタイルです!
『来世は他人がいい』
コラボレーションアイテム
®KODANSHA